縹渺の露─能《野宮》─








京都芸術センター 大広間
2014.6.22
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構成・振付・出演:ボヴェ太郎
笛:杉信太朗 小鼓:曽和尚靖 地謡:吉浪壽晃、田茂井廣道
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舞踊家ボヴェ太郎による能楽との共演作品『縹渺(ひょうびょう)の露—能《野宮》—』。空間と身体の呼応をコンセプトに創作を行うボヴェ太郎。近年は、言葉や音楽によって生成される空間への関心を強めています。観る者の想像力に働きかけ、余白の中に作品世界を立ちあげてゆく能の構造に着目し、これまでに古典曲の《杜若》、《井筒》、《葵上》、《江口》を題材とした、能楽との共演作品を手がけてきました。能の上演形態を大胆に削ぎ落とし、濃縮された能の世界にボヴェの舞が出逢うことで、古典曲が内包している新たな魅力に迫ろうとする意欲的な試みは、各界から注目されています。この度は、京都を代表する若手・中堅の能楽師を共演に迎え、源氏物語を典拠とした夢幻能の大曲《野宮》の世界に挑みます。能楽と舞の呼応が紡ぎだす繊細な“場”にご期待下さい。
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能《野宮》
源氏物語・賢木および中世源氏物語梗概書の理解に拠りつつ、「裏枯の草葉に荒るる野の宮の跡」を舞台に、六条御息所の光源氏に対する感情、恨みつつも恋しさがつのる屈折した女心を描き、それを月光が森の下露に淋しげに宿る、物寂しく美しい秋に象徴させている。寂寥感漂う簫々たる叙景は、そのまま御息所の心象風景と重なる。構成は世阿弥の「井筒」に学び、「葵上」をふまえつつ、物語本文を巧みに点綴しながら、高貴な女性の激しい愛憎、その果ての憂いと悲しみ、懐旧と艶を秘めた寂寥を見事に描いている。(新 日本古典文学大系『謡曲百番』岩波書店)より
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能楽コーディネート:曽和尚靖
舞台協力:大鹿展明
広報デザイン:外山 央
主催:Taro BOVE Dance Performance
共催:京都芸術センター